
トルマリン電気石シュルールリディコータイト
トルマリンは、多彩な色合いと強い多色性をもつ鉱物で、日本語では「電気石」と呼ばれます。古代から装飾品や護符として用いられ、現代でも癒しと浄化の石として高い人気を誇ります。
基本情報
世界中で採掘されるトルマリンは、産地ごとに色・透明度・価値が異なり、特にブラジル産は高級宝石として国際的な地位を確立しています。
- 正式名称
- トルマリン
- 和名
- 電気石
- 英名
- Tourmaline
- 別名/流通名
- シュルール、リディコータイト
- 主な産地
- ブラジル :
- 世界最大の産地であり、透明度が高くカラーバリエーションが豊富なため、高級宝石として国際市場で高く評価される。
- アフガニスタン :
- インディゴライト(青トルマリン)やヴェルデライト(緑トルマリン)が多く、深みのある色調と透明度が特徴。古代シルクロードを経て装飾品として重用された。
- マダガスカル :
- 多色性が強く、ピンクから緑のグラデーションを持つ結晶が多い。近年、高品質原石の産出が増えている。
- アメリカ(カリフォルニア・メイン) :
- 19世紀末に宝石質トルマリンが多く発見され、特にピンク・グリーン系は清朝の皇族に愛用された歴史がある。
- スリランカ :
- 古くから「混ざり合う石」として知られ、多彩なトルマリンが産出する。
鉱物情報
トルマリンは化学組成の多様さにより性質が大きく変わる鉱物であり、色や透過性は元素組成に強く依存します。 蛍光性は一般的に弱いですが、パライバ系など一部の高級種では美しい蛍光が見られます。
- 組成
- Na, Ca, Li, Mg, Al, Fe, Mn, B, Si, O などを含む複雑なホウ酸塩鉱物
- 比重
- 3.0〜3.3
- 硬度
- 7
- 結晶系
- 六方晶系
- 透過性
- 透明、半透明
リチウム系(ピンク・ブルー系)は透明度が高く、アイアン系(黒・褐色系)は不透明に近い。産地や元素組成により光の透過性が異なる。
- 蛍光性
- 弱い(青、緑、ピンク)
- 蛍光色
- 青、緑、ピンク
ほとんどのトルマリンは蛍光を示さないが、リチウムを含むピンク系やパライバトルマリンは長波UV下で淡い青〜緑、あるいはピンク色に光る場合がある。短波UVでは反応が弱く、天然か合成かの鑑別の一助とされる。
- 取り扱いの注意点
- 熱に弱い
- 衝撃に弱い
- 化学薬品に弱い
- 紫外線に弱い
特徴と由来
多色性と化学的多様性を併せ持つトルマリンは、自然界の「色彩の結晶」とも呼ばれます。希少種はコレクターズアイテムとしても人気が高いです。
- 色
- 赤ピンクオレンジ黄緑青紫茶黒透明
- 外観の特徴
- 多色性が非常に強く、角度によって異なる色を示す。 内部に色帯構造を持つものや、中心がピンク・外側が緑の「ウォーターメロンタイプ」も存在。
- 生成環境/形成過程
- 花崗岩ペグマタイトや変成岩中に形成され、周囲の化学環境により色が決まる。鉄・マンガン・リチウムなどの含有量が鍵となる。
- 発見/命名の由来
- シンハラ語「トゥルマリ(混ざり合う石)」に由来し、18世紀にヨーロッパへ伝わった際も多様な色の石として認識された。
- チャクラとの関連
- 第1チャクラ(ルート/赤)、第4チャクラ(ハート/緑・ピンク)、第6チャクラ(サードアイ/藍・紫)、第7チャクラ(クラウン/紫・白・透明)
- 誕生石
- 10月
- 星座石
- 天秤座、蠍座
- 干支石
- 戌、亥
- 希少性
全体的には産出量が多いが、透明度の高い宝石質やパライバトルマリンなどは極めて希少で高価。
歴史/伝承
古代エジプトでは、トルマリンは「虹の石」として神聖視された。人々は地中から地表へ上がる際に虹を通り抜けたため、多彩な色を持つようになったと信じた。王族や神官たちは、太陽神ラーの象徴としてトルマリンを身につけ、邪悪を祓う護符とした。
インドでは、古代から「真実を見抜く石」として占術や瞑想に用いられた。青や緑のトルマリンは精神性を高め、心の目を開く石とされ、僧侶や王族が祭礼で使用した記録が残っている。
中世ヨーロッパでは、トルマリンは友情・愛情・誠実の象徴として貴族社会で重んじられた。ピンクや赤のトルマリンは愛を深める石とされ、婚約や結婚の贈り物として人気を集めた。黒いトルマリン(ショール)は魔除けの石として兵士や旅人に携えられた。
19世紀後半、アメリカのカリフォルニア州で美しいピンクトルマリンが発見されると、中国の清朝宮廷で大流行した。特に西太后はトルマリンを愛し、寝台の枕までトルマリンで作らせたと伝えられている。 20世紀以降はパライバトルマリンの発見によって再び世界的注目を浴び、宝石としてもパワーストーンとしても不動の人気を確立した。