
スモーキークォーツ煙水晶スモーキークリスタル
スモーキークォーツは、茶色から黒色を帯びた水晶の一種で、大地のような落ち着きと安定感をもたらす石として知られます。古来より「大地の守護石」と呼ばれ、邪気払い・グラウンディングの象徴とされています。
基本情報
産地によって色合いが微妙に異なり、淡いブラウンから漆黒まで多彩な表情を見せる。特にスイス産とスコットランド産は高級スモーキークォーツとして評価が高い。
- 正式名称
- Quartz(クォーツ)
- 和名
- 煙水晶
- 英名
- Smoky Quartz
- 別名/流通名
- スモーキークリスタル
- 主な産地
- ブラジル :
- ブラジル産は透明度が高く、淡い茶色が多いのが特徴で、アクセサリー用途に多用される。
- スイス :
- アルプス産は「アルプススモーキー」として知られ、結晶形が整い高品質で高級品として扱われる。
- マダガスカル :
- マダガスカル産はやや黄色味を帯びたスモーキーで、温かみのある色調が人気。
- スコットランド :
- ケアンゴーム地方産は「ケアンゴーム」と呼ばれ、古くから英国王室の装飾品にも用いられてきた伝統的ブランド。
鉱物情報
放射線を受けて形成されるため、加熱や強い日光で退色することがある。普段の取り扱いでは日光浴よりも月光浴による浄化が適している。
- 組成
- SiO₂
- 比重
- 2.65
- 硬度
- 7
- 結晶系
- 六方晶系
- 透過性
- 透明、半透明
産地や含有アルミニウム量によって透明度が変化し、淡色は透明、濃色は半透明に近い。光の加減で内部の照りが変わる。
- 蛍光性
- 弱い(白)
- 蛍光色
- 白
通常は蛍光性を示さないが、一部のブラジル産では短波UV下でごくわずかに白色に発光する例がある。
- 取り扱いの注意点
- 紫外線に弱い
- 熱に弱い
特徴と由来
地に足をつけるエネルギーを象徴する石で、外観の濃淡がそのまま精神的安定や保護の象徴とされる。
- 色
- 茶黒透明
- 外観の特徴
- 半透明から黒褐色までのグラデーションが特徴で、濃度によって「スモーキー」「モリオン」と呼称が変わる。内部が澄んだものほど高品質とされる。
- 生成環境/形成過程
- アルミニウムを微量に含んだ水晶が自然放射線を浴びることで、茶〜黒色の発色中心が生じる。人工的に照射して生成されるものも存在する。
- 発見/命名の由来
- 「煙(Smoky)」のような色調に由来。スコットランドでは古くから「ケアンゴーム(Cairngorm)」と呼ばれ、地名にちなんでいる。
- チャクラとの関連
- 第1チャクラ(ルート/赤)
- 誕生石
- 該当なし
- 星座石
- 山羊座
- 干支石
- 丑
- 希少性
一般的な水晶の中では比較的多く産出されるが、モリオンクラスの漆黒タイプは希少。
歴史/伝承
古代ケルト人やスコットランドの高地民族にとって、スモーキークォーツは「大地の霊」を宿す聖なる石であった。ケアンゴーム地方ではこの石を身につけることで悪霊を追い払い、土地との調和を保つと信じられていた。戦士たちは戦いの前に護符として腰に下げ、勝利と生還を祈願したという。
中世ヨーロッパではスモーキークォーツが喪の象徴としても用いられた。修道士や貴族の間では「死者の魂を導く石」とされ、葬儀の際にロザリオや指輪として用いられた記録が残る。暗い色が「精神の浄化」を表すと考えられ、心を静める儀式にも使われた。
19世紀のイギリス王室では、スコットランドのケアンゴーム産スモーキークォーツが正式な装飾品に採用された。ヴィクトリア女王はこの石を好み、スコティッシュ・ジュエリーの中核として王室の象徴に位置づけたと伝えられる。以後、スモーキークォーツは「気品と沈着の宝石」として英国文化に根付いた。
現代では、スモーキークォーツは瞑想やヒーリングにおける“グラウンディングストーン”として再評価されている。心を現実へと戻し、混乱の中で安定を見出すためのツールとして、世界中のスピリチュアル実践者に親しまれている。
