
シベリアンアメジスト
シベリアンアメジストは、アメジストの中でも特に濃く赤みを帯びた高品質の紫色を持つ変種です。宝飾品市場で最上級とされ、深みのある色合いが魅力です。
基本情報
シベリアンアメジストは、アメジストの中でも濃い赤紫色を持つ最高品質のものを指します。歴史的に希少価値が高く、今日でも高級宝石として扱われています。
- 正式名称
- Quartz(クォーツ)
- 和名
- 紫水晶
- 英名
- Siberian Amethyst
- 別名/流通名
- -
- 主な産地
- ロシア(ウラル地方) :
- 採れた濃い紫色のアメジストが「シベリアンアメジスト」として古くから珍重された。深紫に赤紫のファイアを含む色合いが特徴で、かつてはロシア皇帝やヨーロッパ王侯貴族に愛用された。現在はウラル産はほとんど枯渇し、代わりにブラジルやザンビアから同様の濃色アメジストが流通している。市場では「最高級アメジスト」の代名詞として扱われる。
鉱物情報
基本的な鉱物特性はアメジストと同じで、強度は十分ながら紫外線や高熱で色が褪せる恐れがあるため取り扱いには注意が必要である。
- 組成
- SiO₂(二酸化ケイ素)
- 比重
- 2.65
- 硬度
- 7
- 結晶系
- 六方晶系
- 透過性
- 蛍光性
- 取り扱いの注意点
- 紫外線に弱い
- 熱に弱い
- 衝撃に弱い
特徴と由来
シベリアンアメジストは、その赤紫の深い色合いが最大の特徴で、色調によって特別に区分されるアメジストである。宝飾価値の高さから特別視されている。
- 色
- 紫透明
- 外観の特徴
- 濃い紫に赤紫の輝きを含む。透明度が高く、ファセットカットすると内部から赤い閃光が見える場合がある。
- 生成環境/形成過程
- 火山性の晶洞に形成されたアメジストのうち、特定の鉄イオン濃度と放射線作用の条件で赤紫色を強く発色する。
- 発見/命名の由来
- もともとロシア・シベリア産の最高級アメジストを指して「シベリアンアメジスト」と呼んだのが始まり。現在は産地に関わらず色調を基準として呼ばれる。
- チャクラとの関連
- 第6チャクラ(サードアイ/藍・紫)
- 誕生石
- 2月
- 星座石
- 水瓶座、魚座
- 干支石
- 戌
- 希少性
産出は限られており、特に天然のウラル産は非常に希少である。現代のブラジル・ザンビア産の中から選別されたものも高級品扱いになる。
歴史/伝承
シベリアンアメジストの名は、帝政ロシア時代に遡る。ウラル地方で産出した濃色のアメジストは、その高貴な色から皇帝や貴族に愛され、王冠や宗教的装飾品に多用された。特にロマノフ王朝の財宝には、数多くのシベリアンアメジストが収められていると伝わる。
ヨーロッパでは、この深紫色は「司教の石」として知られ、聖職者の指輪や祭具に選ばれた。中世においても「禁欲」「精神性」を象徴する石とされ、濃色のアメジストほどその力が強いと信じられた。
近代以降は、ウラル地方の鉱山が枯渇するにつれて市場価格が急騰し、やがてブラジルやアフリカ産の濃紫アメジストが「シベリアンカラー」として代替されるようになった。今日でもこの色調はアメジストの最高峰とされ、コレクターや宝飾愛好家に高く評価されている。
