
シトリン黄水晶
黄金の光を宿すような輝きをもつシトリンは、「太陽の石」として古くから人々に愛されてきた天然石です。富と繁栄、そして前向きなエネルギーをもたらす石として、金運や成功運の象徴とされています。
基本情報
シトリンは水晶グループの一種で、鉄分の含有や加熱によって黄色〜黄金色に発色する。自然界では希少な天然シトリンも存在するが、多くはアメジストやスモーキークォーツを加熱して得られる。
- 正式名称
- Quartz(クォーツ)
- 和名
- 黄水晶
- 英名
- Citrine
- 別名/流通名
- -
- 主な産地
- ブラジル :
- 世界最大の産地であり、明るく透明度の高い黄金色のシトリンが産出することで知られる。ミナスジェライス州では熱処理を加えずに得られる天然のシトリンが稀少で、高級品として扱われる。
- マダガスカル :
- マダガスカル産のものは柔らかな蜂蜜色を帯び、スモーキーなトーンを含む個体も見られる。色合いの深みと均質な透明度が特徴で、ジュエリー品質として人気が高い。
- スペイン、ロシア :
- 古くから採掘が行われ、ヨーロッパ貴族の装飾品として利用されてきた。
- アメリカ :
- コロラド州では淡い黄色の結晶が多く、宝石用途よりもコレクション向けとして流通している。
鉱物情報
シトリンは硬度が高く扱いやすいが、長時間の直射日光や高温環境では退色する可能性がある。保存時は遮光した場所が望ましい。
- 組成
- SiO₂
- 比重
- 2.65
- 硬度
- 7
- 結晶系
- 六方晶系
- 透過性
- 透明、半透明
産地や内部の包有物の量により透明度が異なる。高品質なブラジル産は無色に近い透明感をもつ。
- 蛍光性
- 弱い(オレンジ、黄)
- 蛍光色
- オレンジ、黄
長波UV下で淡い黄色〜オレンジ色の蛍光を示す個体がある。特に天然由来のシトリンにわずかに観察される。
- 取り扱いの注意点
- 紫外線に弱い
- 熱に弱い
特徴と由来
シトリンは陽光のような色合いをもち、「希望」や「豊かさ」を象徴する石として古来から愛されてきた。エネルギー的にも活性化をもたらすとされる。
- 色
- 黄オレンジ茶透明
- 外観の特徴
- 透明度が高く、淡いレモン色から深い蜂蜜色まで幅広い色調をもつ。内部に微細なインクルージョンを含むことがあり、光を受けると柔らかな輝きを放つ。
- 生成環境/形成過程
- 火成岩や熱水脈中で形成される。鉄イオン(Fe³⁺)が結晶中に取り込まれ、加熱によって黄色系の発色を示す。自然加熱または人工的な熱処理によりアメジストがシトリン化する例も多い。
- 発見/命名の由来
- フランス語の「citron(シトロン/レモン)」に由来し、色合いがレモンに似ていることから名づけられた。
- チャクラとの関連
- 第3チャクラ(ソーラープレクサス/黄)
- 誕生石
- 11月
- 星座石
- 射手座
- 干支石
- 午
- 希少性
天然未処理のシトリンは比較的稀で、高品質の黄金色結晶は市場で高値で取引される。
歴史/伝承
古代ギリシャでは、シトリンは「太陽の結晶」と呼ばれ、神アポロンに捧げる供物として用いられた。戦士たちはこの石をお守りとして身につけ、戦場での恐怖を払う力があると信じていた。
ローマ時代には、シトリンは富と繁栄を象徴する宝石として商人の間で流行した。金貨に似た色から「商売繁盛の石」として護符に加工され、富裕層は指輪やブローチとして身につけた。
中世ヨーロッパでは、錬金術師が「太陽の力を宿す石」としてシトリンを崇めた。精神を明るくし、陰鬱な気分を晴らす効果があるとされ、憂鬱症の治療にも使われたという記録が残る。
近代以降、ブラジルで美しいシトリンが大量に発見されると、装飾用宝石として人気が再燃した。ヴィクトリア朝時代にはイギリス王室のジュエリーにも取り入れられ、現在では11月の誕生石として広く親しまれている。

