
ケアンゴーム煙水晶スコティッシュスモーキークォーツ
ケアンゴームは、スコットランドのケアンゴーム山地で産出するスモーキークォーツの一種です。金色を帯びた茶色の輝きと気品ある透明感が特徴で、古くからスコットランドの国石として王族の宝飾品に用いられてきました。
基本情報
英国の歴史と深く結びついた高貴なスモーキークォーツ。産地名がそのまま宝石名となり、スコットランドの誇りを象徴する石として伝えられている。
- 正式名称
- Quartz(クォーツ)
- 和名
- 煙水晶
- 英名
- Cairngorm
- 別名/流通名
- ケアンゴームクォーツ、スコティッシュスモーキークォーツ
- 主な産地
- スコットランド・ケアンゴーム山地 :
- スコットランドのケアンゴーム山地は古来から良質なスモーキークォーツの産地として知られ、黄金色〜赤茶色の輝きを帯びるのが特徴。かつて王族の紋章装飾やスコティッシュ・ダークジュエリーに多用された。 現在は採掘がほぼ終了しており、天然のケアンゴーム産は非常に希少。代替としてブラジル産スモーキークォーツが「ケアンゴーム」として流通することがあるが、本来はスコットランド産のみを指す。
鉱物情報
ケアンゴームは自然の放射線で生成されるスモーキークォーツの一種であり、透明度と色味の繊細なバランスが特徴。保存には直射日光を避けるのが望ましい。
- 組成
- SiO₂
- 比重
- 2.65
- 硬度
- 7
- 結晶系
- 六方晶系
- 透過性
- 透明、半透明
古典的なケアンゴームは透明度が高く、内部がクリアな琥珀色〜茶褐色を示す。光の角度により黄金色の反射を見せる個体もある。
- 蛍光性
- なし(白)
- 蛍光色
- 白
通常は蛍光を示さないが、稀に長波UV下で淡い白色光を発する場合がある。
- 取り扱いの注意点
- 紫外線に弱い
- 熱に弱い
特徴と由来
ケアンゴームはスモーキークォーツの中でも特に気品ある輝きをもつ。英国の文化と深く関わり、精神の落ち着きと高貴さを象徴する石とされる。
- 色
- 黄茶透明
- 外観の特徴
- 琥珀のような温かい茶色や黄金色を帯び、他のスモーキークォーツよりも明るく上品な印象を与える。研磨すると高い光沢を持つ。
- 生成環境/形成過程
- 花崗岩や変成岩中で形成される水晶が自然放射線を受けて発色。ケアンゴーム地方の地質環境が特有の淡金色を生む。
- 発見/命名の由来
- スコットランド・グランピアン山脈のケアンゴーム山地(Cairngorm Mountains)で最初に発見されたことから命名された。
- チャクラとの関連
- 第1チャクラ(ルート/赤)
- 誕生石
- 該当なし
- 星座石
- 射手座
- 干支石
- 辰
- 希少性
現在は採掘禁止区域も多く、真正のスコットランド産ケアンゴームはコレクター市場で極めて高価。代替流通品との判別が重要。
歴史/伝承
ケアンゴームの名は、スコットランド北東部の山地「Cairngorm Mountains」に由来する。この地では古来より、金色の煙水晶が「大地の精霊の贈り物」として崇められていた。ケルト民族はこの石を守護石として腰や胸に飾り、戦士たちは戦場へ赴く際に護符として身につけたと伝えられている。
17〜18世紀には、スコットランド貴族の間でケアンゴームが礼装用の宝石として定着した。タータンチェックのキルトを留める「ブローチ」や「ダークジュエリー(喪の宝石)」の中央に嵌め込まれ、忠誠・誇り・祖先への敬意を象徴した。ヴィクトリア朝時代には、英国王室がこの石を正式な装飾品として採用し、「スコットランドの誇りを示す宝石」として世界に知られるようになった。
20世紀以降、ケアンゴーム鉱山は枯渇し、現在では新たな採掘がほとんど行われていない。そのため、本物のスコットランド産ケアンゴームは博物館級の希少価値を持つ。一方、スピリチュアルな観点では「祖先の記憶を呼び覚ます石」とされ、瞑想やルーツへの回帰の儀式にも用いられている。
